8月19・20日国立オリンピック記念青少年総合センターで一泊二日のSTEAM研修を実施しました。2年生の授業選択者(5名)と1年生の希望者(1名)が参加し、2日間で多くの場所を訪問し、たくさんの出会いと気づきのある2日間となりました。
生徒感想(抜粋)
- 固定観念にとらわれず、物事を多方面から考えることによって、今までになかった新鮮な解決策が生まれることがわかった。
- 研究とは一つの分野だけで完結するのではなく、他分野の知識や異なる立場の人の視点を取り入れることで、新しい研究や技術につながっていくことを知った。
- STEAMとは単に理系分野を組み合わせることではなく、異なる視点や知識を組み合わせ、新しい価値を生み出すための考え方だと感じた。
- 研究者の人たちがもっと、厳しい感じでやっているものと思っていたが、楽しそうに研究をしていることに驚いた。
- 大学生活は楽ではなないけれど、高校では経験できない規模が経験できる、より大きなことができるのだと楽しみになりました。
- 研究に対する興味が以前より増した。科学と社会の深いつながりとSTEAMにおけるArtの重要性を感じた。
主な訪問先等の感想(抜粋)
① 神奈川県立 生命の星・地球博物館

- 博物館は、過去を展示するだけの場所ではなく、過去を知るこで未来へつなげていく場所なのだと知りました。普段見ることのできない標本の保存方法やバックヤードでの管理について知り、展示は単に資料を並べるのではなく、多くの人の知識や努力が集結して成り立っているものなのだと分かりました。今回の見学を通して、「見て終わり」にするのではなく、「そこから何を感じ、何を考えるか」が大切なのだと感じました。これからは、さまざまなものを見るときにも、その先にある意味や自分が感じたことを意識していきたいです。
- 実際に触れることのできる展示があり、障害のある方も訪れることができるよう工夫されていることが印象に残りました。また、動物園や水族館で亡くなった生物や、漁師の方が発見した珍しい生物なども収集・保存されていることを知り、博物館が生物の記録を未来へ残す重要な役割を担っていることを実感しました。
- 普段は見ることのできないバックヤードはもちろん普段の展示もすごく面白いものばかりで、今度はプライベートの時に伺って、じっくり楽しんでみたいと思いました。 バックヤードの見学では、ボランティアの方の様子を見学することもできて、博物館がボランティアの方々に支えられていることを知り、またボランティアの方が好きなことにまっすぐに活動されている様子を見て、このような好きなことへの関わりがあるのだなと勉強になりました。
② 東京大学先端科学技術研究センター

〇インクルーシブデザインラボラトリー
- 身体の状況と周囲の環境との相性が悪いことで困難が生じている状態を「disability」と言い、環境を改善することでその困難を減らすことができるという考え方が、特に印象に残りました。障害を個人だけの問題として考えるのではなく、周囲の環境との関係から捉えるという新しい視点を学ぶことができました。
- 「障壁をなくせば障害はなくなる」という言葉に非常に感銘を受けました。環境が変わるだけで、その人の置かれる状況やできることが変わるように、誰かにとっては不自由なものでも、別の誰かにとっては便利なものであるということは、多様な人々が暮らす現代社会において忘れてはならない大切なことだと実感しました。
- 障害を単なる心身機能の障害としてではなく、心身の状態と周囲の環境との相性が悪く困っている状態と捉える視点を学び、深く納得しました。また、実際に水道を見させていただいて、細かなところまで工夫がされていて、特につかまって立てるよう、シンクの手前に返をつけるという工夫は驚きました。実際に車椅子利用者の方の意見を聞くことで、使う人ならではの具体的なニーズを知ることができたように直接ユーザーに話を聞くことの大切さを深く学べる素晴らしい機会となりました。
〇昆虫制御空間デザイン研究室
- 昆虫の匂いを受容する仕組みを活用し、災害時の人命救助やカビの発見など、私たちの暮らしをより豊かにする研究が行われていることがとても興味深かったです。さらに、実際に研究している様子を見たことで、研究における継続的な努力の重要性を肌で感じることができました。
- 昆虫が人間には感じることのできない匂いを高い感度で察知できることを知り、大変驚きました。昆虫の嗅覚に関する研究が、センサ細胞やセンサ昆虫の研究へと発展し、さらに食の安全・安心、危機管理、ヘルスケアなど、さまざまな分野につながっていることも印象に残りました。 一つの研究テーマを深く掘り下げるだけでなく、そこから他の分野とのつながりを見つけ、多面的な視点から研究することの大切さを学ぶことができました。 また、実際に研究室でカイコガに触れさせていただいたり、研究器具を使用させていただいたりしたことで、研究をより身近に感じることができました。 今回学んだことを今後の探究活動や学習に生かし、物事を一つの視点だけから見るのではなく、さまざまな可能性や分野とのつながりを考える姿勢を大切にしていきたいと思います。
- 昆虫の能力を実用的なものへ応用するという研究内容は非常に興味深く、見えない情報を可視化するという難題を、昆虫の能力を利用することで解決できるのだと知り、感銘を受けました。工学と生物学など、異なる学問分野が融合することで新しい技術が生まれるように、技術の発展は特定の分野だけで成し遂げられるものではなく、多様な学問分野と多くの人々によって支えられているのだと知りました。今回の研修を通して多角的な視点の重要性を実感し、私自身の今後の探究の考え方にも変化がありました。
- 昆虫がヒトの感知できない匂いまでわずか0.3秒ほどで察知する能力を持ち、その仕組みを活用してセンサ細胞で匂いを可視化したり、センサ昆虫とドローンを組み合わせたりする技術に大変驚かされました。単に生物の能力を利用するだけでなく、ロボットや可視化技術と組み合わせることで、安全や危機管理、医療現場での早期発見といった社会の課題解決に繋げている点に深く感銘を受けました。 また、研究や実験を進めるうえで「時間や湿度などの環境条件を整えること」「上手くいかない時は環境を変えてみること」、そして「成功した理由をしっかり記録すること」という姿勢の大切さも学ぶことができました。 他の動物の優れた能力を活かして人間の生活をより豊かにする取り組みの素晴らしさを実感し、生物や技術への興味がさらに深まる貴重な機会となりました。
〇減災まちづくり分野研究室
- 災害による被害について、人的・物的・経済的な側面など、さまざまな視点から考え、災害時の訓練方法だけでなく、その後の復興のあり方までデザインしていくという考え方が特に印象に残りました。災害への備えは、災害が起こった瞬間だけを考えるのではなく、その後の生活や地域の再建まで考える必要があるのだと学びました。 また、ポスターを作成する際には、「何を覚えてもらいたいのか」を明確にし、使用する文字や色をできるだけ少なくすることが大切だというお話も非常に参考になりました。これまでポスターを作る際には、伝えたい情報をできるだけ多く入れようとしていましたが、今回のお話を伺い、情報を絞り、伝えたいことを明確にすることの重要性に気づきました。 今後、学校でポスターや発表資料を作成する際にも、今回教えていただいたことを意識していきたいと思います。
- 災害による被害を少しでも減らすために、様々な視点から研究が行われていることに興味を持ちました。普段触れる機会の少ない研究について実際にお話を伺うことができ、減災という分野について知る貴重な機会となりました。今回のお話をきっかけに、災害から人々の生活を守るためにどのような研究や取り組みが行われているのか、さらに知りたいと感じました。
- 地域ごとに被害の状況が全く異なるため、目的に合わせたまちづくりや減災対策の難しさを改めて実感しました。他の研究を組み合わせて活用することで、より多くの人を救助できるかもしれないというお話を聞いて、 特に印象に残ったのは、逃げる人個人で事前準備をするだけでなく、「避難の指示出し」や「具体的な訓練」など、指示する側の細かな備えも重要であるということです。万が一の際に適切な避難や復興へ繋げるために何が必要なのか、視野を広げて考えるきっかけをいただきました。
③ 株式会社アラヤ

- 実際にソフトを使用し、ニューロテクノロジーによって将来的に記憶を置き換えたり、共有したり、削除したりすることができる未来を想像してみたことで、「記憶は誰のものなのか」「記憶を扱う技術が発展したとき、プライバシーはどのように守られるのか」など、多くの疑問が浮かびました。 技術が発展することで、これまでできなかったことが可能になる一方で、それに伴って新たな倫理的・社会的な問題も生まれるのだと実感しました。技術そのものだけを見るのではなく、それが社会や人々にどのような影響を与えるのかまで考えることが重要なのだと学びました。
- ムーンショット計画というものを、今回初めて聞きました。 意識を共有することが可能になったら、小説に作者のイメージする映像を取り付けてみてほしいと思います。自分のイメージする世界と、作者のイメージしていた世界を比べてみたいし、作者のイメージをそのまま受け取ってみたいと思います。
- 未来のテクノロジーや社会像は、普段なかなか具体的に想像するのが難しいと思っていましたが、「SFをつくる過程」を未来ビジョンの共創に応用するというアプローチがとても新鮮でした。フィクションだからこそ自由な発想ができ、自分ごととして感情移入しながら具体的にイメージを広げることができました。 研究者のビジョンに一人ひとりの多様な価値観が合わさることで、未来の選択肢が広がっていくというお話に強く共感いたしました。国や文化による考え方の違いや、世界での捉え方の多様性についてもさらに知りたいという興味が湧いてきました。 テクノロジーの進化だけでなく、それをどう社会や人間と繋げていくかという「未来へのアプローチ方法」を学べる貴重な機会となりました。
④ 卒業生との交流(市川心音さん)

- 現役の大学生から率直な大学生活について伺えることはなかなかないので、新鮮でした。特にオープンキャンパスではあまり聞くことのできない、高校生活と大学生活の違いを知ることができました。
- 大学進学後の学び方について具体的に考えるきっかけとなりました。これまで大学受験までのことを中心に考えていましたが、その先にどのような学びや進路があるのかを知ることができ、とても参考になりました。 また、理系科目の勉強では、問題のパターンを覚えることが大切だというお話も印象に残りました。これからの数学や理科の学習では、ただ答えを覚えるのではなく、さまざまな問題に対応できるよう、解き方のパターンや考え方を意識して学習していきたいと思います。
- 実際の大学生活や高校時代の勉強のことなど、私たちにとって身近なことについてお話を伺うことができ、非常に参考になりました。親しみやすい雰囲気でお話ししてくださったので、短い時間ではありましたが、リラックスして楽しくお話しすることができました。
⑤ 東京大学生産技術研究所

〇今井研究室
- 私の街にも津波避難タワーがありますが、避難訓練のときにもあまり利用されていないため、避難するための場所としてだけでなく、観光資源としても活用するという発想がとても新鮮で驚きました。私も、これまでの考え方にとらわれるのではなく、一つの物事をさまざまな角度から見て、新しい活用方法を考える姿勢を大切にしていきたいと感じました。
- 今回の見学を通して、建築をさまざまな視点から捉えることの面白さを学ぶことができました。今後の学習や探究活動でも、一つの目的だけにとらわれず、複数の価値や可能性を考える姿勢を大切にしていきたいと思います。
- タワーを平時はレストランやカフェなどの観光資源として活用する「テラッツォオレンジトイ」の例など、単一の目的だけでなく複数の要素を組み合わせて発想する重要性を学びました。壊してしまう足場を仮設住宅へ応用する考え方や、伐採されたナラ材から建物を考えるという新しい方法は、考えたこともなくてとても驚きましたが、「これまで無かった問題を自分から見つけて考える」ことこそが研究なのだと深く実感いたしました。建築士が人の命や人生に関わる大きな役割を担っていることにも感銘を受けました。 万能なアイデアが存在しないからこそ「何を重視して何を選ぶか」を突き詰める大切さを学び、今後の進路や学びに対する視野が大きく広がりました。
〇川越研究室
- 科学技術は理学や工学といった理系のものだけではなく、人文や芸術など、さまざまな分野が関わっているのだと知りました。専門が違うと受け取り方も異なったり、科学だけでは答えが出せない「トランスサイエンス問題」について知り、多角的な視点を持つことの大切さを実感いたしました。また、読書活動のサポートをするアプリなどを体験してみて、細かいところまで自分で作って愛着が湧き、文字から具体的にイメージしやすくなり、読書への苦手意識が減りそうだなと、とても印象に残りました。
- 教育という数値化し辛い分野を分析する上でも、統計を用いるなどの科学の力が重要であるということを実感しました。それぞれの分野が独立するのではなく、それぞれの捉え方を融合させることで、新たな視点や可能性が生まれるのだと感じました。今回の見学を通して、異なる分野の知識や考え方を組み合わせることの大切さを学ぶことができました。
- 私はこれまでSTEAM教育について具体的にどのような教育なのかを十分に理解できていない部分がありました。特に「Art」については、これまで「芸術的な観点」という意味で捉えていました。しかし、今回のお話を伺い、さまざまなバックグラウンドを持つ人の視点に立ち、多面的な視点から物事を捉えるという意味も含まれていることを学び、STEAM教育に対する考え方が大きく変わりました。
⑥ 東京農業大学(総合研究所石見先生) 「健康と栄養に関する話題」、「食と農の博物館」ほか

- 日本人のエネルギー摂取量が高齢化などの影響も受けて減少しており、特に炭水化物の摂取量が大きく減少していることを知り、普段の生活では実感することのできない日本人の食生活の変化について学ぶことができました。 一方で、脂質の摂取量は1950年と比較して大きく増加していることも知り、普段何気なく食べている食事について、歴史的な変化や社会的な背景を考えるきっかけとなりました。食事は単に栄養を摂取するだけではなく、健康や老化、社会の変化など、さまざまな分野と深く関わっていることを学びました。
- 農業という身近な分野が、食料問題や環境問題、地域の活性化など、さまざまな社会課題につながっていることを知りました。今まで農業と聞くと「単に作物を育てるだけ」と感じていましたが、そうではなく、科学や技術、環境、地域社会など、さまざまな分野が関わっていることを実感しました。また、大学では自分の興味を専門的に追究できる環境があることを知り、大学で学ぶことへの興味もより深まりました。
- 医療の急速な発達によって平均寿命が延び、人間の寿命そのものが大きく変化してきた一方で、寿命という話題においては健康寿命がより重要であると感じました。健康は一朝一夕でつくられるものではなく、日々の積み重ねによって実現できるものであると実感するとともに、人間の老化や寿命について研究することの重要性や、その壮大さを深く感じました。
- 博物館では見たことのない珍しい展示がたくさんあり、とても楽しかったです。また、緑豊かな植物園も本当に広々としていて、初めて見る植物に出会えたりと、自然の素晴らしさを肌で感じられる素敵な空間でした。
