1 研究開発構想名

ふじのくにアドバンスト・ラーニング・コンソーシアムの構築

2 研究開発の概要

Society5.0 を担う静岡県の高校生が、個々の興味・関心・特性に応じて、より高度な学習プログラムに参加することにより、イノベーティブなグローバル人材に必要な知識、能力及び心構えを身に付けることを目的として、関係教育機関と行政、企業及び関係団体が協力し、新たな学習プログラムの開発やそれを実施するための環境整備及びその普及に取り組むために、「ふじのくにアドバンスト・ラーニング・コンソーシアム(略称:FALCon)」を設計する。

FALCon は、上記の目的を達成するため、次の1~4を実施する。

1 「ふじのくにアドバンスト・プレイスメント・システム」の設計・構築及び運営
2 「ふじのくにグローバル・セミナー」の企画及び実施
3 課題研究を組み込んだ普通科高校の教育課程の開発及び課題研究シラバスの開発
4 教育機関等への事業成果発信及び周知・普及活動の実施

3 研究開発の内容

(1)「ふじのくにアドバンスト・プレイスメント・システム」の設計・構築及び運営

対象校の生徒が、県内の国公立大学等が設置する科目を受講し、当該大学よりその評価を受けるために、「ふじのくにアドバンスト・プレイスメント・システム」を設計・構築する。
2021年度を目途に、組織を設立し、運営する。

(2)「ふじのくにグローバル・セミナー」の企画及び実施

対象校の生徒が、海外の大学や企業等において、アジアの高等教育や語学研修、最先端のIoT・AI技術を体験するために、海外研修事業「ふじのくに グローバル・セミナー」を企画・実施する。

(3)課題研究を組み込んだ普通科高校の教育課程の開発及び課題研究シラバスの開発

イノベーティブなグローバル人材に必要な知識、能力、心構えや価値観を育てるために、課題研究を組み込んだ、普通科高校で活用できる教育課程の開発及び新たな教科・科目のシラバス開発を行う。またその能力を測るための客観テストを設計し、実施する。

(4)教育機関等への事業成果発信及び周知・普及活動の実施

FALCon 事業の事業成果を発信し、周知・普及を図るために、教職員対象の研修・報告会、生徒による課題研究ポスターセッション、高校生国際会議等の企画立案及び運営を行う。

4 「ふじのくにアドバンスト・ラーニング・コンソーシアム(FALCon)」運営組織

  • 管理機関:静岡県教育委員会(担当:高校教育課)
  • 事業拠点校:県立三島北高等学校
    SGHの成果を踏まえ、文理融合型教育課程と課題探究シラバス開発・普及を担当する。
  • 県内事業連携校:静岡県立静岡高等学校 静岡県立沼津東高等学校 静岡市立高等学校
    事業拠点校の先行例を研究し、自校の現状を踏まえた、文理融合型教育課程と課題探究シラバスの開発を研究する。
  • 県外事業連携校:宮城県仙台二華中学校・高等学校 長崎県立長崎東高等学校
    SGHの実績を踏まえ、事業拠点校と協働し課題探究活動を行い、高校生国際会議等に参画する。
  • 海外協力校:ヴィンスクール、チュウバンアン高校(ベトナム) リバーバレー高校、ジュロンウェストセカンダリースクール(シンガポール) 浙江省杭州第七中学(中国)
    SDGsに関する課題研究を通し、高校生国際会議に参画する。
  • 事業協働機関:静岡県大学課、静岡県地域外交課、静岡県上海事務所、静岡県東南アジア事務所、静岡銀行、明電舎、県事業「海外インターンシップ」の連携企業、JICA、JETRO
    ふじのくにグローバル・セミナーの企画等を行う。
  • 事業協働機関:ふじのくに地域・大学コンソーシアム(静岡大学、浜松医科大学、静岡県立大学、静岡文化芸術大学)
    ふじのくにアドバンスト・プレイスメント・システムを構築する。
  • 海外協力高等教育機関:ベトナム水資源大学、ナンヤンポリテクニーク、シンガポール大学、ミネソタ州立大学
    課題探究活動を支える専門講義、英語で学ぶ講座を提供する。

5 拠点校(三島北高校)の取組み

(1)テーマとして設定するグローバルな社会課題
共通テーマ「Multi-Dimensional Approach to SDGs」

日本一の高低差(高さ)と横幅(幅)、歴史的資産(時間)の「三次元」に広がる静岡県の魅力に、ICTに係る視点を絡めた「四次元」的視点から、「災害」「人口の社会減」「中山間地の過疎化」といった地域課題にアプローチする構想を土台とし、SDGs達成に係る課題を、複数の視点で捉え、解決策を考えていく課題研究活動を行う。

(2)新たな教科・科目の設定

科目:Environmental Science

概要:アメリカの任意団体College Boardが実施するAdvanced Placement Program(略称:AP)の自然科学科目「Environmental Science」をベースにした、英語と日本語で環境問題を理解する科目。「地球環境と資源」「土壌と水」「エネルギー資源と消費」「環境汚染」などの項目を、英語のテキストを利用し学習する。履修者は、ミネソタ州立大学等での環境STEMに関する短期研修に参加できる。希望者はAPの試験を受けてもよい。

(3)カリキュラムに位置付けられた短期・長期留学や海外研修

ア 海外研修

希望者を対象に、1年次夏季休業中にベトナムでの研修を行う。
「総合的な学習(探究)の時間」における課題研究のフィールドワークとして実施する。

イ 修学旅行

全生徒を対象に、2年次10月にシンガポールでの修学旅行を行う。「総合的な学習(探究)の時間」における課題研究のフィールドワークを、各チームで実施する機会を設定する。

ウ その他

県外連携校も含めた複数校による、現地交流またはオンラインを用いた共同研究を実践する。(令和3年度高校生国際会議開催に向け、段階的に取り組む。)

ふじのくにアドバンスト・ラーニング・コンソーシアムの構築